2010年03月05日

ドビュッシーの本

Category : 音楽的資料 | Comments (6)  

ドビュッシーを練習するに当たって、家に青柳いづみこさんのドビュッシーの本があるので、まずそれを読んでみることにしました。再読ですが。すっかり形から入ってます。(笑)

「指先から感じるドビュッシー」は「作品に込められた意味、楽譜からのインスピレーションを”ピアノの音”にするために」ということで、技術的な練習だけでなく、19世紀の文化的背景からも、ドビュッシーの曲を探っていこうとする本。
ドビュッシーの生まれ育ちや人となりはもちろん、好きだった絵画や文学作品も紹介されてます。「印象派」ということで片付けられがちなドビュッシーですが、本当に印象派なのか?なんて部分も。…ドビュッシー自身、評論家に「印象派の弟子」と言われたそうなんですが、その頃は既に印象派の運動は終わっていて、実際には悪い意味で使われたようですね。それに瞬間の風景を切り取って描き上げた印象派の絵画に対して、ドビュッシーの作曲は風景が一旦気持ちの中に入って内面で少しこなれてから、ある時ふと音楽言語として外に出てくるというもの。だから現象としては似ていても精神的なものは違う、と青柳いづみこさんは書かれてました。
あとは実際の演奏について。逆立ち体操に始まる様々な基礎練習方法やそれぞれの曲についての詳細な解説、解釈や具体的な演奏法について。基礎練習に関してはドビュッシー以外のピアノの演奏全てに通じることだと思うし、私が弾いたことがあるのはアラベスクの2曲だけなんですけど、この2曲の部分だけでもものすごく勉強になりました。例えばアラベスクの1番にはバッハ的な対位法が見られるということも、2番はオーケストラ的な書法が特徴なんてことも、当時は全然知らなかったし、考えもしなかったし! フルートのところは指を平らにしてあまり力をこめないように弾き、オーボエのところは指先を立ててよく通る音で、クラリネットは重さを使って柔らかい音で、ファゴットはゆっくりしたタッチで暖かい素朴な音を。金管楽器や弦楽器のところも当然あるわけで、こういうのを綺麗に弾き分けられたら素敵でしょうね。
残念ながら「子供の領分」全6曲のうちで取り上げられている曲は「雪は踊っている」と「ゴリウォーグのケーク・ウォーク」だけなんですけど、その2曲を練習する時はぜひ参考にしたいものです。実際の手の写真も沢山入っているし、この本は読物というより実践的な練習の本。1つ1つゆっくり試していきたいな。

「ドビュッシー 想念のエクトプラズム」はドビュッシーの評伝。
意識的に軽めに書かれている「指先から感じるドビュッシー」とは全然雰囲気が違うし、あと2歩も3歩も踏み込んだ内容。CDのジャケットには印象派の絵画が多く使われていて、実際明るい色調の口当たりのいいイメージが先行する曲が多いにも関わらず、その奥には実はおどろおどろしい影が潜んでいる… と、ドビュッシーの音楽を19世紀末のデカダンスやオカルティズムとの関わりなどの面から改めて見つめ直していきます。ドビュッシーだけでなく、ヴェルレーヌとランボーのことや、エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」、ユイスマンス「さかしま」などなど、文学史的な方向から読んでも面白い~。文庫版あとがきでご本人が「文庫化にあたって久しぶりに読みなおしてみると、生硬な表現が目につくし、ずいぶん攻撃的だなぁとも思うが」と書いてらっしゃる通りで、私も最初は少しびっくりしたんですけどね。
それにしてもドビュッシーって実は文学青年だったんですねえ。ただ、主にドビュッシーの裏の面を取り上げているためか「子供の領分」については全く言及ナシ。当時3歳だった愛娘・クロード・エマ(シュウシュウ)のために作られた曲ですものね。言及がなくて当然だろうとは思うんですが、それでもやっぱりちょっと残念。

そして「指先から感じるドビュッシー」にたびたび引用されていた「ピアノのテクニック」、つい買ってしまいましたよー。ハノンみたいな指の訓練の本。(青柳いづみこさんは、やっぱり安川加寿子さんのお弟子さんだったんだなあと妙なところで実感したり)
今はあまり練習時間をたっぷり取れないこともあって、そういう基礎練習はほとんどやってなかったんですけど(シンフォニアの今までやった曲を全部1回ずつ弾いてウォーミングアップしていた)、やっぱり練習前の指馴らしは必要かもしれないなと思い始めて。ハノンなら持ってるし、それで十分なんでしょうけど、正直飽きたし(爆) 私の場合、ハノンだとある程度の速さで機械的に指を動かす方向にいってしまうので、この本でちょっと目先を変えてみるのもいいかな、と。単調な音階練習だって、意識して音に表情をつけながらやるようにすれば、きっと少し結果が変わってきますよね。指の基礎力をつけたり、脱力を徹底させるのはもちろんなんだけど、表現力をもっと身につける助けにもならないかなあ、なんていうのは甘い?(笑)

 

ハノン派、ピアノのテクニック派、どっち?(他にもあるんでしょうけど、よく知らない)



2010年03月01日

「エチュード」ペライア

Category : CD(ショパン) | Comments (2)  

ショパンのエチュードも早いとこ何か決定盤を決めて打ち止めにしたいんだけど、どれもなあ… と思ってたら(サンソン・フランソワのは好きなんだけど、練習の参考にするにはちょっとね)いいのが見つかりました。マレイ・ペライア盤です。演奏としては相当ハイレベルだと思うんだけど、それでいてポリーニのように聴いてて追いつめられるというのがない(ここが肝心)というのは、一体どこが違うんでしょうー。音色もとても美しいし、どことなくふっくらと感じられる演奏です。演奏のちょっとしたクセやタメのようなものが好きじゃない人もいるだろうし、「決め手がない」と思う人もいそうな気はするんだけど。…それにしても、10-6がこの速さというのは珍しい。個人的には、この速さで演奏されるのを聴いて初めてこの曲に親しみを感じられたので(今まではこの曲1曲だけエチュード全体の中で異質な存在のような気がしていた)いいと思うんですけど、一般的にはどうなのかな?
この方、バッハも次々に録音してるようで、そちらもとても気になります。今出てるのはゴルトベルク変奏曲、ピアノ協奏曲、パルティータ、イギリス組曲… この辺りは既に全曲出てますね。あと、ブランデンブルク協奏曲も出始めてるみたい。聴いてみたいな。この音色からすると芳醇なバッハが聴けそうです。

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マレイ・ペライア(Murray Perahia 1947- )
  アメリカのピアニスト。指揮者でもある。
  1972年のリーズ国際ピアノ・コンクールにてアメリカ人初の優勝。
  9年の歳月をかけ、自身の弾き振りでモーツァルトのピアノ協奏曲全曲録音。
  1985年にベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲録音。
  主なレパートリーはウィーン古典派やドイツ・ロマン派音楽。
  特にベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームスなど。



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