2010年04月06日

ツェルニーは何のため?

Category : 音楽的資料 

ツェルニーといえばピアノのレッスンでは王道の存在。(少なくとも日本では) 私も100番に始まって30番、40番と進んでいったのですが、ピアノを専門的にやっていこうというわけではなかったし、子供の頃は自分が何のためにツェルニーを練習しているのか全く分かってなかったこともあって、結局途中でうやむやになってしまったんですよね。
でも最近、このツェルニーのことが気になって仕方ないのです。というのは、ツェルニーをインテンポで弾けるようになれば相当なテクニックが身に着くということを知ったから。…いや、手指の訓練のための練習曲だということは考えればすぐに分かるようなことなんですけど、当時はほんと何も考えてなかったので… 実際ツェルニーを練習していてテクニック的に飛躍的に向上したという意識もなかったですしね。でもいざ知ってみると、やっぱり必要なものだったのかなあと妙に気になってきてしまいました。

ここでまずツェルニーとはどういった人だったのかを書いておくと。
カール・ツェルニー(1791年‐1857年)は、オーストリアのピアノ教師でありピアニストであり、作曲家でもあったという人物。ベートーヴェン、クレメンティ、フンメルの弟子で、その教え子にはリストがいます。「ツェルニー○○番」といった練習曲が有名ですが、室内楽曲や協奏曲も作曲していて、ピアノ協奏曲は現在でも演奏されることが多いのだそう。

ツェルニーの問題点としてよく挙げられているのは、まず曲が面白くないこと。そして生きていた時代から考えて、古典派後期からロマン派初期までのテクニックが中心ということ。多声的要素も全くないわけじゃないけど、実際あまりないと思うし、普通に考えて、ツェルニーより後の時代のテクニックが含まれているとも思えないですしね。でも多声音楽に関しては日々バッハを練習しているわけだし。バッハ以外で一番弾きたいシューマンは初期ロマン派だから十分射程圏内。ベートーヴェンだって、ソナタを弾きつくしたいなんて願望こそないものの、好きだし弾けるようになりたいし。
ついこの間までは、普通のピアノの曲を練習する中で個々のテクニックを練習していけばいいじゃないの、と思っていたんです。でも曲の中に出てくると予想される音階やアルペジオ、音型を事前に練習しておくというのは確かに有効な手段なのかも。しかも私の指があんまり回らないのはツェルニーをあまり真面目にやってなかったせいもある? ただ、私の場合、今はショパンのエチュードを練習中。これだって立派な練習曲。ツェルニーでいえば、多分50~60番相当だと思います。しかも音楽的にはツェルニーよりもずっと上。今さら30番を練習する必要があるのかしら。なんて思ったりもするんですが…。たとえツェルニーの練習曲がある程度テクニック的に偏っていたとしても、その辺りの基礎的なテクニックを見直して底上げするのは、今の私にとって有効な気もします。急がば回れとでもいうか。

で、ツェルニー関係の本をいくつか探してみました。そしてまず読んでみたのは、室井摩耶子さんの「チェルニーってつまらないの?」。副題は「チェルニー30番から何を読みとるか」。これは音楽的にツマラナイとされているツェルニーの面白さを引き出した本。作曲家が楽譜に書こうとしたことをきちんと読みとることができれば、おのずとその演奏はまるで違ってきてしまうということを具体的に説明していきます。なぜツェルニー30番を取り上げたかといえば、ツェルニーが音楽語、そして音楽の原則を見事に書き切ってると思うから。「チェルニーはつまらないと言われるが、原則をふまえて弾いていくとき、それは結構美しい音楽の姿を現してくる」とのこと。
ツェルニー30番がなぜ必要なのかという本ではなかったですが、これはこれで面白かったです。作者の作りだした5つのキャラクターで分かりやすくお話仕立てにしてるところは、私が読むにはちょっと幼すぎる感じなんですけどね。うーん、確かにこんな風に曲を読みとることができれば、もっと楽しく練習できるようになるかもしれない… でも、そうやって読みとれるようになるには、どうやって勉強すればいいんだろう? 読んでいて「なるほど」とは思っても、他の楽譜には応用できないよ、私。

とりあえず、しばらくツェルニーを練習しつつ、自分に本当にツェルニーが必要なのかどうか考えてみようと思います。何のための練習なのかきちんと理解した上で、1曲をインテンポ・ノーミスで弾けるようになれば、次に進むということで。ま、30番と40番の本は手元にあるので。
そして山本美芽さんの「21世紀ヘのチェルニー 訓練と楽しさと」、岡田暁生さんの「ピアニストになりたい! 19世紀 もうひとつの音楽史」も図書館に予約中。

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Comments (4)

  1. yoshimi

    古典派の曲を弾くならチェルニーは有効だけれど、ロマン派以降の場合はチェルニー(だけ)で練習していたら、上手く弾けない…とかいう話を、ずっと昔に何かの本で読んだことがあります。正確な文章は覚えてませんが。

    ベートーヴェンを弾くためならチェルニーは良いでしょうが、チェルニーを弾かずとも、メカニック練習&実際の曲のパッセージで練習すれば良いという人もいます。
    とあるイタリア在住のピアノの先生は、チェルニーくらいはスラスラ弾けないといけません!とブログに書いてました。

    身につけたいテクニックと、教える人の考え方によって、練習方法が違うのでしょうね。今は先生にはついていないので、いまどきの練習方法がどうなっているのはわかりませんが。

    子供時代は、どの先生にもチェルニーはしっかり練習させられたので、今となってはまた楽譜を見たくはない気分…。
    飽きっぽい性格の私には、好きな曲をなるべく数多く弾いていくのが、楽しくて長続きする練習方法のようです。

    「チェルニーってつまらないの?」本は、面白そうですね。これは、チェルニーを弾くかどうかは別にして、読んでみたい気がします。

  2. アリア

    yoshimiさん、こんにちは。
    本当に、教える人によって扱いが全然違う練習曲ですね。>チェルニー
    海外では全然メジャーな練習曲じゃないと聞いたことがあるし
    現在活躍中の日本人ピアニストでもやってるとは限らないみたいだし…
    (実際、やったことないという人も結構いるみたい)
    それなのに今頃チェルニー! 時代に逆行してますね、私。(笑)

    それでもなんで今チェルニーを考えるようになったかといえば
    うーん、ショパンのエチュードが手強すぎるからですかねえ、やっぱり。
    確かに、苦手な部分は実際の曲のパッセージで練習すればいいとは思うんですよ。
    ついこの間までは、私もそう考えてたし。
    でも蓋をあけてみると、そうやって集中練習しなくちゃいけない部分が多すぎて!
    ちょっと違うアプローチもしてみたくなったって感じでしょうか…

    あ、今ついてる先生は、チェルニー絶対信仰というわけでもなく
    だからといって、やる必要が全然ないと考えているわけでもなく
    その都度効果的なところを抜き出してやれば有効だという考え方みたいです。
    チェルニーもハノンも、たとえ音楽的ツマラナイと思っていても
    それなら自分が音楽的に弾くようにすればいいという感じで。
    (それは相手が私だから…? ピアニストを目指してる場合はどうなのかしら)

    yoshimiさんは、50番までしっかりやってらっしゃるじゃないですかー。
    それならもう卒業ということでいいと思いますよ!
    私は30番こそ全部やってるものの、40番の途中で終わってますし…
    しかも多分全然インテンポなんかじゃなかったと思うんです…
    これじゃあ「以前やった」なんて言えないのかも。(笑)
    で、30番と40番に関しては本もあることだし、やってみるのもいいかなあって。
    50番の本は持ってないし、買ってまでするとは思えないですが。(^^ゞ

    「チェルニーってつまらないの?」は、ちょっと子供向けな感じですが
    アプローチとしては面白いと思います。^^

  3. チェルニー、40番後半からがぜん面白くなるのにww

    ま、なんのためにやるのかっていうのは、系統立てのためと言っていいと思いますよ。
    音楽のこーきたら、あーくる。この音型だと次はこう続く、この和音はこうつながって、と基本的なパターンが体にはいってきます。でもって、これが結構応用がきく。
    ピアノ教師としてのチェルニーは、すごい人だったんだろうなと、思います。
    テクニックの底上げ、いわばドリルみたいなもんかもしれないですね。

    と、日本で多いっていうのは、日本の音大の入試がたいていハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンが課題なので、ショパンやるよりこっちでしょってながれなんだと思いますよ。
    あと、ドイツ音楽が最初にはいってきたからってところも所以かと。
    つか、近代になって、バルトークとか自国の音楽というアイデンティティを持たずして表現はない、って考えが主流になって、海外は余計自国の作曲家による教本に重きをおくようになってるから、さらに時代遅れな感じになってるかと。

    クランマービューローとか、モシェコフスキーなんかよいですよ。
    ショパンのためにはモシェコフスキーっていわれてるんですが、ちょっと音が現代風なので妙なところで手ごわいけどね。

    と、チェルニーのホントにつまんないのは、100とか110とかで、多分彼は小さい子供は苦手だったんだろうなって感じがすごくしますよww

  4. アリア

    ええっ、そうなんですか!>40番後半からがぜん面白くなる
    それを聞くと、途中でうやむやになってやめちゃったのが
    なんだかものすごーく損してたような気になってきます。(笑)

    そっかー、チェルニーはドリルなんですね。
    計算ドリルとかつまんないけど、毎日やってれば確実に速くなりますもんね。
    そうすれば難しい問題を解くのにも、少しは余裕ができるわけで。
    確かにそういう基礎的なパターンを体に入れるのも必要かもしれないですね。
    応用が効くなら尚更。
    ああ、少しずつ掴めてきた気がします。ありがとうございます♪

    クラマービューローは60曲?! それならモシェコフスキーの20曲の方が!
    と思ったんですけど(笑)、クラマービューローの曲を試聴してみたら
    なかなか綺麗な曲が揃ってるようで~。これはちょっと惹かれてしまいます。
    でもでも、またここでいきなりそっちに入ってしまうと
    ショパンのエチュードと同じ状態になってしまいそうなので我慢我慢。
    まずは底上げを目指します!(笑)

    あら、入試ってそういう古典方面がメインなんですか。
    ベートーベンはともかく、ショパンのエチュードも主流かと思ってました。
    というのはともかく。
    ショパンのエチュードは、やっぱり今の私には無謀?って考えちゃいます。
    元々先生がやりましょうと仰って始めたので、そうではないと思いたいけど…
    私みたいにのたのたと苦労してる人、いっぱいいるのかなあ。
    焦る必要は全然ないんだけど… やっぱりなんだか焦ります。
    ほんと、情けなくなるほど弾けないんですよねえ。(苦笑)

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