2010年06月19日

「子供の領分」ミケランジェリ

Category : CD(ドビュッシー) 

「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」が、レッスンのたびに撃沈してる今日この頃。そんな時にこのCDを聴くと、さらに打ちのめされます…。これはミケランジェリのもの。「前奏曲集」第1巻の12曲と「子供の領分」6曲が収められています。
ミケランジェリの演奏は、完璧を期するためか一般的な演奏よりもテンポが遅いことがたびたびあるし、私にとってはそれがネックのことも結構あるんですよね。演奏そのものは好きだし、それだけしか聴かなかったら問題ないんでしょうけど、他のピアニストの演奏だってどうしても聴くことになるし、そうなると自分なりの適正テンポのイメージがつくわけで… そこから大きく外れているとツライのです。
でもこの「子供の領分」に関しては、十分適正テンポ内の演奏。速すぎず遅すぎず… というか、速いところは羽のように軽やかに速く、遅いところはゆったりと遅く。…となると、音へのこだわりを持った人の演奏だけに、この透明感がドビュッシーにぴったり。音の粒がなんて美しく揃ってるんでしょう! ほんと、どうやったらこんな風に弾けるのかしら。打ちのめされると分かっていても、それでも聴いてしまう私です。

ドビュッシーはそれほど大好きというわけではないので、普段はあまり聴かないのですが、曲の題名がとても素敵。前奏曲集の1巻は「デルフィの舞姫たち」「帆」「野を渡る風」「音とかおりは夕暮れの空気に漂う」「アナカプリの丘」「雪の上の足跡」「西風の見たもの」「亜麻色の髪の乙女」「とだえたセレナード」「沈める寺」「パックの踊り」「ミンストレル」… 絵画的というか、物語が生まれそうな題名ばかりですね。実際、「デルフィの舞姫たち」はルーブル美術館にある古代ギリシャ時代のカリアティード(女像柱)がイメージの源だそうですし、「パックの踊り」は、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」にも登場する妖精パック。アーサー・ラッカムの描いた挿絵にヒントを得ているようです。「西風の見たもの」はアンデルセンだし、「沈める寺」はフランスのブルターニュ地方に残る、海の下に沈んだイスの町の伝説からできた曲。物語ではありませんが、「音とかおりは夕暮れの空気に漂う」はボードレールの詩「夕べの諧調」の一節からとられた題名。…というのは、青柳いづみこさんの本から得た知識ですが。あーでも、青柳さんはミケランジェリの弾くドビュッシーはあまりお好きではないんですよね、確か。

*****

 
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(Arturo Benedetti Michelangeli 1920-1995)
  イタリアのピアニスト。
  1939年のジュネーヴ国際音楽コンクールで優勝、審査員長のアルフレッド・コルトーから
  「リストの再来」と賞賛される。
  レパートリーは、ベートーヴェン、シューマン、ショパン、ブラームス、ドビュッシーなど。
  ミスタッチの無い演奏を行う完璧主義者であり、そのためか演奏家としてはレパートリーが非常に狭い。
  演奏のためのコンディション作りにも拘り、コンサートのキャンセル魔としても有名。

Comments (10)

  1. yoshimi

    ミケランジェリに関係する伝記類を読んでいると、楽器と調律にまつわるエピソードが特に面白いですね。調律の腕もプロ並に近かったらしいですし。

    僅かな力の打鍵で弾けるように調律していたので(曲にもよるでしょうが)、羽根のように軽い鍵盤だったと、どこかで読んだ記憶があります(調律師の村上氏の本?)。
    多分、ドビュッシーを弾くときは、こういう凄く軽い鍵盤だったのじゃないでしょうか。鍵盤が軽いと、指先の力の微妙なコントロールが余計に必要になりますね。一体どんな練習をしていたのでしょう。

    現役ピアニストでミケランジェリ並に楽器に強いこだわりを持つのは、ツィメルマンでしょうか。
    インタビュー記事があって、欧州や日本でのコンサート用に、わざわざ倉庫を数ヶ所(欧州では2~3ヶ所だったかも)借りて、ピアノを保管しているそうです。(ちょっと記憶が曖昧ですが)
    日本公演では、東京の保管庫からコンサート会場へ運んでいたと思います。完璧主義者のツィメルマンらしいですね。

  2. アリア

    ミケランジェリは、外では調律にすごくうるさかったのに
    自宅のピアノの調律はガタガタだった… なんて話もありますね。(笑)
    戦争を境に演奏がまるで変わってしまったなんて話もあったし
    エピソードには事欠かない、興味深いピアニストですね。

    ああ、羽のように軽い鍵盤! そうか、それなら納得です。
    でもそんな鍵盤をコントロールしつつ弾くのは、実際にはとても大変そう…
    それにミケランジェリの多彩なタッチを弾き出すために効果的ではあっても
    初めに軽い鍵盤ありきという話ではないですよね。
    一般人にはとても無理そうです。
    と言いつつ、巨匠が使ってたピアノはちょっと試してみたいですけど。
    同じ「軽い」でもクラビノーバの鍵盤じゃやっぱりダメなんでしょうね。(笑)

    ツィメルマンの完璧主義者ぶりも有名みたいですね。
    ラフマニノフの協奏曲とシューベルトぐらいしか聴いてないんですけど
    その音源からだけでも、完璧主義者ぶりが伺えます…
    なんと、コンサート用のピアノを各地の倉庫に保管してるんですか!
    確かに、自分のピアノを空輸して運ばせるよりは現実的かしらとは思いますが…
    でも、ただ置いておくだけではダメですよね。
    空調的なことはもちろんですが、ピアノは弾いてあげないと。
    それ専用のスタッフもいたりするんですかねえ。
    はあああ、すごいなあ。(嘆息)

  3. アリアさん、こんばんは
    私も普段ドビュッシーを聴かないのですが

    >アーサー・ラッカムの描いた挿絵にヒントを得ているようです。
    これ気になりますぅ
    ラッカムの絵を見ながら聴くのもいいかも♪
    画集がずっとamazonのウィッシュリストに入ったままなんですよねー
    画集を買ってからドビュッシーを聴いてみようかな^^

  4. のんさん、こんにちは。
    アーサー・ラッカムの絵、お好きでしたか。
    私も大好きです。いいですよね~♪
    ラッカムの画集といえば、やっぱりこれでしょうか。
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309906583/
    こんなのも素敵ですけど… 新刊では既に品切れのようで残念。
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309906842/

    あと洋書でもいいのがありますね。
    ラッカムとデュラックとニールセンを3冊取り揃えて持ってます♪
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0486421678/
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0486436691/
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0486449025/
    この3冊だと、カイ・ニールセンが一番好きですが~。^^

  5. サトクリフの挿絵を描いていて
    それで好きになったんですよ♪
    アリアさんが紹介してくれた洋書3冊共wishListに入ってますよ~
    いつも後回しになっていて、いまだに買っていませんが・・・

    すでにインベンションは3種類持っていますけど
    シンフォニアのCDも聴いてみたいです^^

  6. アリア

    のんさん、こんにちは。
    サトクリフの挿絵がラッカムだったんですか~。
    その本は私読んでないかも…
    というか私の場合、サトクリフ自体あまり読んでないかもですが…(^^ゞ

    新書館からラッカムが挿絵の、というかラッカムの絵が主体になった
    本が何冊も出てて、そちらも美しいんですよねえ。
    ウンディーネとか不思議の国のアリスとかニーベルンゲンの指環とか。
    絶版になってるのも多くてとても残念なんですが。
    洋書の3冊はペーパーバックと書いてあったので少し不安だったんですけど
    届いてみたら思った以上に楽しめましたよ。
    薄いんですけどね。色んな作品の絵が集められています。^^

    あ、この記事のタイトルが紛らわしいんですが
    インベンションのCDなら、シンフォニアも一緒に入ってますよね?
    ややこしくてすみません。タイトル、変えようかしら。
    のんさんは何のCDを持ってらっしゃるのでしょう?
    ウェーバージンケ? グールド? エッシェンバッハ?
    気になります。^^

  7. アリアさん、こんにちは

    サトクリフは、ギリシャ神話シリーズでの挿絵でした。
    すごい綺麗ですよ♪

    インベンションのCDは、アリアさんも持っている1枚と
    以下の3枚を持っています。
    アルド・チッコリーニ、アマデウス・ウェーバージンケ、グールド
    3種3様です^^;

    そうそう次の課題曲は、やっていない曲の中から先生に選らんでもらって
    インベンションにしました。
    ちょっと一本調子もましになってきたみたいです^^

  8. のんさん、こんにちは。
    ギリシャ神話物にラッカムの挿絵とは、それは綺麗でしょうねえ~。
    と言いつつ、まさにその本というのは見つけきらなかったんですが
    ギリシャ神話物だと「オデュッセウスの冒険」「トロイアの黒い船団」がありました。
    こちらの2冊はアラン・リーの挿絵ですって。これも素敵そうです。

    そしてインヴェンションはその3枚でしたか。
    私とはウェーバージンケのが重なるんですね。
    グールドのは試聴したことがあるんですけど、アルド・チッコリーニって全然…
    と、今早速試聴してきましたが、これはまた一味違うバッハだなあとびっくり。
    ほんと3種3様ですね。ものすごくよく分かります。(笑)

    あ、次もインヴェンションなんですね♪
    今日レッスンだったのでしょうか。記事を楽しみにしてますね~。

  9. アリアさん、すいません。勘違いしてました。
    サトクリフはアラン・リーでしたね。
    今ひっぱりだしてきて確認しました^^;
    アラン・リーも線の細い綺麗なイラストなんですよ。
    じゃあ、なんでラッカムたちの本がwishListにあるんでしょ?
    きっとamazonにお勧めされたんでしょうね(笑)
    線の細いイラストが好きなので天野義孝も好きです♪

    あっポリーニが秋に来日しますよ~

  10. アリア

    あ、ラッカムではなかったのですね。
    でもアラン・リーの挿絵も素敵ですよね~。
    私が見てるのは指輪物語関連の絵ばかりかも?と思ったら
    「マビノギオン」「魔術師マーリンの夢」もそうでした。
    天野義孝もいいですね。
    私の中では天野義孝といえば「アルスラーン戦記」かなあ。
    あとはファイナル・ファンタジー。(笑)
    (一般的には、まず「グイン・サーガ」でしょうか)

    ポリーニ来日ですか! わあ、それはすごい。
    今回は平均律を弾きますね。きっと。
    チケットのお値段、相当高そうだ~。(高いのは競争率も!)
    教えて下さってありがとうございます♪

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