2011年01月24日

「子供の領分」ハース

Category : CD(ドビュッシー) 

ヴェルナー・ハースのドビュッシー全集の1巻です。「前奏曲」1・2巻と「喜びの島」「映像」1・2巻、「版画」「子供の領分」「ピアノのために」「アラベスク」2曲、マズルカといった全46曲が収められた2枚組。

ドビュッシーのCDの記事は久しぶり。もっとフランスのエスプリを感じるためにと、これまでフランス人ピアニストの演奏を中心に聴いてきてたんですが、ヴェルナー・ハースはドイツ人。モニク・アースと同じ「Haas」という名字でも、フランス人の「アース」に対してこちらは「ハース」です。まだまだこれからという若さで亡くなったようですが、ドビュッシーやラヴェルの録音では高い評価を得ていて、ドビュッシーのピアノ曲全集の録音ではグランプリ・デュ・ディスク賞、ラヴェルのピアノ曲全集ではアムステルダム・エジソン賞を授与を受賞されているのだそう。

このCDの「子供の領分」を聴いてまず思ったのは、「私… 似てる?」ということ。プロのピアニストの演奏に似てるだなんて、しかも先生にあれだけこてんぱんにやられてるドビュッシーで! なんておこがましいことを! というのはあるんですが、なぜだかとても近しいものを感じたんですよね。以前私がちらっとだけ公開したドビュッシーの録音、あれを聴いた時の感覚に近いというか… もちろん表現力もテクニックも月とすっぽん、雲泥の差、言語道断なのはよく分かってるのですが。
あの時の「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」だけじゃなくて「人形へのセレナード」も。ほら、「小さな羊飼」も! 演奏を聴いてると、私が弾こうとしてる(正確には、先生と一緒に作り上げようとしてる)ドビュッシーのイメージにとても近いような気がしてなりません。先生のレッスン室にはミッシェル・ベロフのCDがあったし(旧盤の方ね)、先生がテンポを取る時は結構速いし、レッスンの時に仰る注意点からも、てっきりベロフがお好きなんだろうとばかり思っていたんですが。ああ、でも先生の好みがどうであれ、私にはベロフのようには弾けないですしね。ベロフの演奏は好きだけど。私のいいところをふくらませようとしたら、ハースのタイプに少し近づいたというのが本当のとこなのかも。

ハースの演奏は、すっきりとしてて余計なものがないという感じ。他のピアニストならもっともっと歌わせるだろうってところでも、比較的あっさり。もちろんテンポを揺らすこともありますけど、それも比較的控えめ。なんだかものすごく楽譜に書かれている通り弾いてるって印象です。でもそのあっさり加減が好き。音もとても綺麗だと思うし、すごく素敵な演奏だと思います。演奏としてはあまり速くないんですけどね。このテンポがまた何ともしっくりきてすごく好きです。

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ヴェルナー・ハース(Werner Haas 1931 – 1976)
  ドイツのピアニスト。
  20世紀音楽の専門家であり、とりわけフランス印象主義音楽の演奏を得意とする。
  シュトゥットガルト音楽院を卒業後、ワルター・ギーゼキングの個人指導を受ける。
  1950年代にヨーロッパ中でリサイタルを開き、大きな成功を収める。
  ベートーヴェンやショパン、プロコフィエフ、カバレフスキーなどもレパートリー。
  自動車事故により急逝。

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