2011年10月20日

キーシンリサイタル

Category : 音楽的催事 

Evgeny Kissinエフゲニー・キーシンのリサイタルに行ってきました。オール・リスト・プログラム。

曲目は
  リスト: 超絶技巧練習曲 第9曲 回想
  リスト: ピアノ・ソナタ ロ短調
  (休憩)
  リスト: 詩的で宗教的な調べより「葬送」
  リスト: 巡礼の年第1年より「オーベルマンの谷」
  リスト: 巡礼の年第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」より
   「ゴンドラを漕ぐ女」「カンツォーネ」「タランテラ」

 アンコールは
  リスト: 愛の夢3番
  シューベルト/リスト: ウィーンの夜会
  シューマン/リスト: 献呈
  ショパン: 幻想即興曲

子供の頃にピアノを習っていた頃はリストが好きだったのですが、でも聴いていたのは「愛の夢3番」とか「ハンガリー狂詩曲」、「ラ・カンパネラ」など、ごくごく有名なラインナップが中心。ええと、「超絶技巧練習曲」も聴いていたのかな。「愛の夢3番」と「ハンガリー狂詩曲2番」の2曲はレッスンで習ったこともあります。でも「愛の夢」はともかくとして、「ハンガリー狂詩曲2番」が当時の私(高3でした)に満足に弾きこなせたはずがなく。(笑)
その頃は「巡礼の年」のような思索的な作品は全然知らなくて、有名な「エステ荘の噴水」も、「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ 」や「波の上を歩くパオラの聖フランチェスコ」も、知ったのも大人になってからでした。だから私が知ってるリストって、リストのほんの一面だけという感じで、結局あまりちゃんと知らないんですよねえ。
本当はリサイタルで初めての(もしくはあまり知らない)曲を聴くというのも結構好きなんですが、今回は珍しくちょっと予習しましたよ。超絶技巧の9番はラザール・ベルマンとクラウディオ・アラウのを持っていて、ピアノソナタはマルタ・アルゲリッチ、「葬送」はホルヘ・ボレット、「巡礼の年」はラザール・ベルマン。あ、「ゴンドラを漕ぐ女」だけはヴィルヘルム・ケンプもあります。聴かないといいつつCDは持ってるんだな、私。

でも実際の演奏が始まってみると、もうそんなのふっとんじゃいました。私が持ってるキーシンのCDって、シューマン3枚組とバッハ/ブゾーニのシャコンヌが入ってるのぐらいなんですけど(その程度で、そんな値段の高いリサイタルに行くのかって言わないでーー) 生のキーシンの演奏は、CDから想像していたのとはまるで違いました。ものすごい骨太の演奏なんですね。すごく男性的。これでもかというフォルテッシモが連発してびっくり。もちろんピアニッシモも美しいのですが、ダイナミックレンジというのでしょうか、その幅の大きさに圧倒されてしまいました。特に良かったのはリストの「葬送」。こんなにもスケールの大きい曲だったのですね。よくピアノは1人でオーケストラなんて言われますけど、本当に1人でオーケストラになってました。音量的にも全然負けてないのではないかしら。ものすごい迫力で鳥肌が立ちましたよ。(いや、CDのボレットの演奏もすごく良かったと思うんですけど、やっぱり生の迫力には負けますよね)
曲が終わるたびに、満員の場内は熱狂的な拍手。アンコールが始まってからは曲が進むにつれて立ち上がる人が増えていって、ブラボーも飛ぶ飛ぶ。そんな場内を、キーシンは考え深げに見渡しているようでした。先日、来日インタビューも見て、実はとても思索的な人なんだなあと思っていたのですが、本当にそれを裏付けるような感じ。そして舞台背面の席の観客にも毎回丁寧におじぎをしていたのが印象的でした。紳士だなあ♪
多分本当はアンコールもリストでまとめるつもりで3曲用意してたんじゃないかな? 観客の熱意に負けて、「幻想即興曲」も弾いてくれたのかもしれないですねー。

やっぱり生の音の迫力はすごいな、と実感したリサイタルでした。いや、やっぱり色々聴いてみないとダメですね。(そうやってるうちに、耳も少しは肥えてくれるといいなー)

Comments (2)

  1. yoshimi

    アリアさん、こんにちは。

    キーシンのリサイタル、オールリストのプログラムは珍しいですね。
    日本公演だと、いつもプログラムの中にショパンを入れていたはずですから。

    キーシンのCDは数十枚持ってますよ。
    「ロ短調ソナタ」の録音はなかったような気がします。
    この曲の演奏、どうでしたか?
    好きな曲なので、ライブ録音でも良いから聴いてみたいです。

    キーシンはどの録音を聴いても技巧鮮やかですが、特に、ブラームスのパガニーニ変奏曲の第1巻の最終変奏、ハンガリー舞曲のピアノソロ版は、何度聴いても鮮やかで惚れ惚れとします。
    シューベルトのリスト編曲版も数曲録音してますが、これも良いですよ。

    キーシンは昔は線がやや細いというか素直というか、男性的というイメージはなかったですが、もう中年(?)になって、芸風が変わったのかもしれませんね。
    数年前のベートーヴェンのピアノ協奏曲全集はあまり評判が良くなく、考えすぎて迷路に入ったようなところがありました。
    その後、プロコフィエフの協奏曲で復調したようですが、最近は、暗中模索していた迷いのようなものが吹っ切れたのかもしれません。

    キーシンは、アンコールに出てきても、無愛想というか、にっこりする人ではないです。ライブ録音をいろいろ見ましたが、どこでもそうですね。
    そのわりに、サービス精神旺盛なのか、疲れることがないのか、アンコールは7曲弾いた…なんて話をよく聴きます。
    さすがにリストばかり続いているので今回は4曲でやめたのでしょうけど、余力充分でまだいくらでも弾けそうです。

  2. アリア

    yoshimiさん、こんにちは。

    キーシンのリサイタルは全くの初めてで何も知らない状態だったのですが
    今回のプログラムは初来日25周年記念(しかも40歳の誕生日)ということで
    とても豪華で(でも有料) これまでの全公演記録も載ってました。
    確かにほとんどの公演でショパンが入ってますね。オールショパンなんて年もあるし…
    今回の来日では、4パターンのプログラムがあるのですが
    ショパンはそのうちの1つのプログラムでスケルツォ2番が入ってるだけなんです。
    ええと、今年のリストは、ごく普通にリストイヤーだからということだったんじゃないかしら。
    ちょっと前にインタビューの動画を見たんですけど、話がまわりくどくって(失礼)
    周囲をぐるぐるしてから本題に戻ってくる感じだったので、よく覚えてないんです。(あらら)

    ロ短調ソナタ、良かったです!
    でも私、他にアルゲリッチのを聴いたことがあるだけなんですよね。比べられません…
    アルゲリッチとはまた全然違う曲のようだなあと思いながら聴いてました。
    でもこれも良かったですが、どちらかといえば後半の方が乗ってたような気がします。
    あ、そうなんです、私もどちらかといえば線が細いイメージを持ってたんです。
    その印象は間違ってなかったということなんですね。
    それが全然違う感じだったので、びっくりしました。本当に芸風が変わったのかも。(笑)
    とにかく、ものすごく力強かったです。
    インタビューの声も意外と太くて低くてびっくりだったんですが
    もう少年じゃなかったんだなーなんて思っちゃいました。(まあ40歳ですしね)

    キーシンのブラームスやシューベルトのリスト編曲がいいんですね。
    パガニーニ変奏曲がいいと聞いたら、それは聴かずにはいられません~。
    あ、これですね。月光と一緒に入ってるやつ。ハンガリー舞曲とはまた別CDですか。
    ブラームスだけでまとめてくれたらいいのになあ…

    ほんと体力はすごそうです。
    曲の間ごとに引っ込んだりはしてましたけど、疲れてる様子は見えませんでした。
    あれだけのフォルテッシモ… 豪腕だなあ。
    こういう部分は、やっぱり男性ピアニストならではかもしれませんね。
    バースディコンサートのアンコールは6曲だったそうです。^^

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