2011年10月09日

アシュケナージ父子のピアノデュオ

Category : 音楽的催事 | Comments (2)  

Ashkenazyウラディーミル・アシュケナージと、その息子ヴォフカ・アシュケナージのピアノデュオリサイタルに行ってきました。
やっぱりアシュケナージ人気はすごいですね。今年何度かシンフォニーホールに足を運びましたが、こんなに席が埋まっていたのは初めて。それでもお隣に座られたご夫婦は「まだあいてるねえ」「やっぱり大阪はダメね、席が埋まらない。だから素通りされちゃうんだわ」なんて会話を交わしてらっしゃいましたが。
でもC席D席は完売だという話だったし、A席も見渡したところ全然空席はなかったです。若いお嬢さんから親子連れ、年配のご夫婦までとても幅広い客層。

ええと、私自身はアシュケナージのファンというほどではないのですが(申し訳ないです… シューマンの演奏はとても好きなんですけど) ピアノデュオのリサイタルというのにとても興味があったので! 行ってきましたよ。74歳という年齢から考えても、アシュケナージの生演奏を聴く機会なんて今後それほどあるとは思えないですしね。プログラムに、演奏よりも指揮活動をメインに置くようになった理由が書かれていました。元々それほど手が大きくなく、それほど指も広がらなかったアシュケナージにとって、増やさなければいけないレパートリーのほとんどは指をとても広げなければならないものばかり。若い頃はそれでもちゃんと演奏できていたけれど、年をとってくるとその無理もきかなくなってきたのだそうです。今やすっかり指が曲がってしまっているのだとか… 涙。(それでもピアノの練習は欠かさないのだそうです) そんなことを知ってみると、今後はもうソロリサイタルなんていうのももう望めないかもしれないですね。行ってよかったですー。やっぱり貴重な機会だったなと思います。
ちなみに息子さんの「ヴォフカ」という名前は、実はお父さんと同じ「ウラディーミル」という名前を短くした形なのだそう。彼がピアニストとして活動を始めるにあたって、同じ名前のピアニストが2人いるとややこしいので、息子さんは短い名前の表記となったのだそうです。

曲目は
  プーランク: 2台のピアノのためのソナタ
  スクリャービン: 2台のピアノのための幻想曲 イ短調
  ボロディン/V.アシュケナージ編: 韃靼人の踊り(「イーゴリ公」より)
  (休憩)
  ラヴェル: マ・メール・ロワ
  ドビュッシー: リンダラハ
  ラヴェル: ラ・ヴァルス

アンコールは
  シューマン/ドビュッシー編: カノン形式による6つの練習曲より第4曲

最初のプーランクでは2人の音のバランスが今ひとつだったのか、それとも私の席の位置のせいなのか、結局のところ父子の格が違うのか、どうもお父さんの音の方が浮き彫りのように聴こえてくるなあと思ってたんですけど…(やっぱりアシュケナージ父の音は素晴らしく綺麗ですねえ) ボロディン辺りからはどちらがどちらの音なのか分からないぐらいに溶け合って聴こえてきて! 父子の息もぴったり。挑発的な2台ピアノというのも魅力的なんでしょうけど、こういう風に奇をてらうこともなく、自然体のデュオもいいですねえ。心地良いハーモニーを安心して楽しめるデュオでした。やっぱり親子ならではなんですかねえ。ほのぼの。

「だったん人の踊り」は息子のヴォフカの編曲。なかなか良かったです。きちんとした構成を知って聴いてみると、色々と見えてくるものですね。そして後半、特にラヴェルの「マ・メール・ロワ」が素敵で~。実は今まであまり好きだと思ったことのない曲集だったんですけど、いや、いいですねえ。ラヴェルの良さが初めて分かった気がしました。しかもきちんと演奏を聴いてみると、これはちゃんと物語になってるんですね。その時々の音やメロディで、何のお話をしてるところなのかはっきりと見えてくるのが素晴らしい。そして最後の「ラ・ヴァルス」は華やかに! この曲は「渦巻く雲の切れ目からワルツを踊る何組ものカップルが見える。雲は次第に晴れて、旋回する人々でいっぱいの大広間が見えてくる。舞台は次第に明るくなり、シャンデリアの光はフォルティシモで輝きわたる。1855年頃の宮廷」という文章がラヴェルの書いたスコアに記されていたのですね。知らなかった! そういわれてみると「なるほど」です。そういうのもすごく感じられて素敵な演奏でした。ピアノ独奏やオーケストラ版もいいけれど、2台ピアノ版が一番好き!

アンコールはシューマンのカノン形式による6つの練習曲より第4曲。帰り際にロビーで「えっ、シューマン?」「シューマンだったんだ…!」の声が多かったのが印象的だったなあ。(ねねっ、シューマンもなかなか素敵でしょ?)
アシュケナージ父のシルエットがおじいちゃんぽくなってるのが悲しかったですが、ピアノを離れた2人はとてもお茶目で~。素敵な親子なのでしょうね。そういうのが音によく現れているように感じられる素敵なリサイタルでした。



2011年10月07日

「フランス組曲」シフ

Category : CD(バッハ) | Comments (2)  

アンドラーシュ・シフの「フランス組曲」。2枚組のCDにはフランス組曲の全曲とフランス風序曲、イタリア協奏曲が収められています。実は私が初めて買った「フランス組曲」の CD がこれなのです。だからある意味、私の中での基本。
このCDを聴いていると、なんとなくですが、「ニュートラルだなあ」という言葉が浮かびます。綺麗な音の粒で、流れるような歌うような演奏。速すぎず遅すぎず、華はあるんだけど、装飾音などに凝りすぎていないところも好印象。こちらがどんなコンディションの時でも安心して聴けるCDってこういうののことかも! 逆に言えば、あまり強い個性を感じないということかもしれませんが、疲れた心にも優しく効きます。

このCDにはイタリア協奏曲やフランス風序曲も入ってますが、私はやっぱりフランス組曲の演奏が好きかな。イタリア協奏曲も素敵なのですが、こちらは私の好みとは微妙に違う感じ… イタリア協奏曲に関しては、もう少し立体的なメリハリの利いた演奏が好きなんですよね。ついでにいえば、インヴェンションもあまり… と、微妙なラインだったりするのですが、先日何かの拍子にシフが公開レッスンをしてる映像を見て! いやん、シフったらなんていい人! 素敵! となった私はとっても単純。今ならインヴェンションも素直に聴けるかもーーー。(CDを貸してもらったんですが、結局1回しか聴かず仕舞いだったので)

シフといえば、シューマンのCDを出していたのでそちらも聴いてみたんですけど、これもとても良かったです。最初に買ったのがバッハのCDだったこともあってバッハのイメージが強かったシフですが、シューマンもいいですねえ。パピヨン、ソナタ第1番、子供の情景、幻想曲、森の情景、天使の主題による変奏曲といった曲が収められてます。叙情的なシューマン。シフの歌心ってとても素敵。

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アンドラーシュ・シフ(Andras Schiff, Schiff András 1953年12月21日 – )
  ハンガリー出身のピアニスト。
  バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどドイツのバロック及び古典派音楽を中心とし
  同時にシューマンやショパンなどのロマン派音楽もこなす。
  室内楽団 カペラ・アンドレア・バルカ (Cappella Andrea Barca) の創設者、指揮者でもある。
  1974年、第5回チャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で第4位入賞。
  1975年、リーズ国際コンクールで第3位入賞。
  ほぼ同年代のゾルターン・コチシュ、デジュー・ラーンキと共にハンガリーの「三羽ガラス」。



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