2011年11月04日
「音楽の正体」
「音楽の正体」という本を教えてもらったので早速図書館で借りてみました。
これは以前フジテレビで1993年10月から6ヶ月間深夜に放送された同名の番組をベースにした本とのこと。筆者の渡邊健一さんがその番組の企画と台本を担当していたのだそうです。私はその番組は観てないのですが、かなりいい番組だったようですね。その番組は今でもYou Tubeでも観られるようなんですが、まずは本を読んでみると、これがとても勉強になる本で! 例に出されてる曲はポップスやロックが多いのですが、渡邊健一さんが桐朋学園高校の音楽科作曲専攻を経て慶応大学に入るという経歴の持ち主のためか、楽典的にかなり踏み込んだ内容となっており、しかも専門外の人間にもものすごく分かりやすいです。amazonのレビューに「ミュージシャン養成学校等で教科書にも使われていた程の伝説の隠れたベストセラー」とあって納得してしまったほど。まだ全部読み終えてないのですが、読み進めるほどに発見があるので、これは少しずつ記事にしてまとめていってみたいと思います。
(ちなみにこの本は現在入手不能状態… 復刊して欲しい!)
そうか、あの曲にはこんなワザが隠されていたのかー!とか、大学でクラシックの作曲技法を学んだ人ならともかく、ポップス・ロック系の作曲をする人も実はこういうワザをちゃんと知ってたのねー!とか、基本をきちんと知ってるからこそこうやって外すワザが使えるのねー!とか。そりゃあもう色々な発見が~。
あ、でも、まとめるのは次の記事からということで、この記事ではとりあえず本の目次を書いておきます。
第1章 レット・イット・ビーは終わらない -変終止のつくるクサレ縁-
第2章 ブルースも終わらない -禁則進行のレジスタンス-
第3章 ユーミンのおこした革命(1) -導音省略のドミナント-
第4章 ユーミンのおこした革命(2) -保続音のエクスタシー-
第5章 加山雄三に学ぶ感動の黄金率 -旋律の頂点とは何か-
第6章 風と共に去りぬの秘密 -跳躍的旋律のインパクト-
第7章 モンキーズの見た白昼夢ーデイドリーム・ビリーバー -ドッペルドミナントの魔法-
第8章 赤いスイートピーはどこへ行ったのか -副5度によるシーン展開-
第9章 津軽海峡イオン景色 -音楽の「泣き」とは何か-
第10章 クラプトンのギターが優しく泣く間に -非和声音の麻薬的常用-
第11章 坂本九・オサリバン・ミスチルの旅したパラレルワールド -胸キュン準固有和音の構造学-
第12章 シカゴのブラス音が雑踏に消える時 -音画的手法とは何か-
第13章 フランス革命なんて勝手にシンドバッド -絶対音楽とは何か-
第14章 結婚しようよは最後に言って -黄金のカデンツ-
第15章 プリンセスプリンセスの見つけたダイアモンド -転回形と半音階的進行-
第16章 竹内まりやの「告白」に鼓動を聞く -内声と外声-
第17章 パリの空の下、シャンソンは流れる -複合拍子の構造学-
第18章 坂本龍一の中の寅さん -日本音楽の彷徨-
第19章 ヘップバーンとユーミン -楽曲形式論-
第20章 なぜ年の瀬には第九が聴きたくなるのか -変奏曲形式とジャズ-
終章 セーラー服でたどる音楽史 -平均律という遺伝子-
アリアさん、こんにちは。
この本、とっても面白そうですね!
それに各章の解説を書いていただいているので、読みたくなってきます。
問題はこの本に出ている曲をほとんど知らないんですよね~。
歌謡曲やポップスは昔からほとんと聴かないので、もう一つピンと来ないかも。でも、今時はYoutubeで聴けるから便利ですね。
実感としてわかりそうなのが、レット・イット・ビー、ジャズ、シャンソン、第9あたり。
和声のベースにある音階や旋法も、曲の雰囲気にかなり影響しているでしょうね。
音階と旋法のことも説明が載っているのでしょうか?
たしか、ジャズ/ブルースで使われるブルー・ノートは、元々西欧の教会旋法がベースで、それを米国にいた黒人がアフリカ風に少し変形して使ったのが最初だったように思います。
教会旋法は、映画音楽やマイルス・デイヴィスのモード奏法にも使われていると言うのが面白いですね。
それに、ブルースで使われる五音階は、日本の演歌や民謡の五音階と似ているところがあって、日本人には馴染みやすいようです。
ドヴォルザークの『新世界より』の有名な「家路」の旋律も、同じく五音階です。日本人がこの曲を好きな理由の一つでしょう。
yoshimiさん、こんにちは。
この本、すごく面白いです!
最初は、軽く読めそうな本だなと思ったのですが、すっかりハマりました…
手持ちの楽典の本にも色々説明はありますが、何かの言葉の定義を説明していても
その音が生み出すニュアンスや意味までは説明してくれてないんですよね。ほとんど。
例えば、ユーミンのところで書いた保続音についても、私が持ってる楽典の本では
「和声変化にかかわりなく、動かずに奏される同音度のバスの音」という説明はあっても
その音が生み出すニュアンスまでは説明してくれてなかったです。
でもこの本には、それによって緊張の持続した流れを作るのだとかそういうことまで載っていて
それがすごく勉強になるんですよ。
そして私も知らない曲が多いので、1つずつYoutubeで検索かけてます~。(便利)
あ、でも、私の解説はちょっと詳細すぎるかもしれません…
新刊ではもう入手できないようだし、と、図書館で借りてきた本なので
我ながら、ちょっと欲張って色々と書きすぎてるような気もします。(てへ)
音階や旋法に関しては、ほとんど載ってないかな… 少なくともまだ出てきてないです。
例として挙げられる楽曲も、分かりやすくするために全部ハ長調に直してるぐらいだから
そこまでは出てこないかもしれないですね。
旋法に関しても詳しく知りたいなあと思ってるのですが。それはまた次の機会に、かな?
ブルースの五音階とそんな繋がりがあるとは知りませんでした。
そちらもすごく面白そうですね。興味津々です♪