2012年05月23日

アレクサンダー・ロマノフスキー

Category : 音楽的催事 

アレクサンダー・ロマノフスキー去年のチャイコンで私が応援してたロマノフスキーさんが来日。でもこちらにまではいらっしゃらないのねーーー。(悲)
ということで、なんと!東京まで遠征してしまいました、私。
アレクサンダー・ロマノフスキーさんは1984年ウクライナ出身、イタリアで育ち、イギリスでもピアノの勉強をされたというピアニストさん。ブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」のいい演奏を探していた時に教えてもらって聴き始めたのが、私にとっての出会いです。今回は全部で3回の公演があり、19日に読響とのコンチェルト、21日と22日にリサイタルという日程。
 
 
5月19日(土) 「第144回オペラシティ・マチネーシリーズ」
 指揮:篠崎靖男 読売日本交響楽団
 ピアノ:アレクサンダー・ロマノフスキー

 曲目は
   ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op.18
   (休憩)
   ブラームス: 交響曲第2番ニ長調 op.73

 ピアノ協奏曲の後のアンコールは
   ショパン: ノクターン第20番嬰ハ短調 遺作
   スクリャービン: エチュードop.8-12「悲愴」

ラフマニノフのピアノ協奏曲は、出だしのあのピアノの音からとても期待させてくれたんですけど、ちょっとオケの音が大きすぎました… 1階の後ろの方という座席の関係も大きかったのだろうと思うのですが、ピアノの音がかなりかき消されてしまって残念。オケの演奏自体も、もう少ししなやかな感じを期待してたんですが、私のイメージよりも太いというか何というか。オケの合間に聴こえてくるピアノの音はとても綺麗だったし、ロマノフスキーさんの演奏自体はとても良かったと思うだけに残念。指揮者の思う「ラフマニノフのピアノ協奏曲2番」と、ピアニストの思う「ラフマニノフのピアノ協奏曲2番」が、若干乖離していたのかもしれないですね。
アンコールはショパンとスクリャービン。アンコールはあまり弾いてくれない方なんだろうな、せいぜい1曲だろうな、なんて勝手に思っていたら2曲も弾いてくれてびっくり。嬉しい!
 
 
5月21日(月) 武蔵野市民文化会館小ホール
曲目は
  ベートーヴェン:ディアベリのワルツの主題による33の変奏曲ハ長調 Op.120
  (休憩)
  ブラームス: パガニーニの主題による変奏曲 Op.35 第1巻・第2巻

アンコールは
  ショパン ノクターン第20番嬰ハ短調 遺作
  スクリャービン エチュード op.8-12 「悲愴」
  バッハ/ユシュケヴィチ 管弦楽組曲第2番より「バディネリ」
  ラフマニノフ 前奏曲第5番ト短調 Op.23-5

この日は前半にベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」を、後半にブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」をそれぞれ全曲というなんとも斬新なプログラム。変奏曲好きのロマノフスキーさんらしいプログラムです。私としてはディアベリが聴けるのがすごく嬉しかったんですが、この曲って、基本的にそれほどリサイタルで弾かれる機会がない曲ですよね? 確かアンデルシェフスキさんも弾いてらっしゃったと思うのですが、その時はどんなプログラムだったんでしょう? こういう実験的なプログラムを組めるのも、この会場ならではという感じがします。ここの会場はそれほど大きくはないのですが、コレという音楽家の方を連れてきて、しかもチケットを完売させるというスゴ腕のスタッフさんがいらっしゃるみたい。地元の方にもとても親しまれているようで(外れがないのだろうと予想)「アレクサンダー・ロマノフスキーって、わたし知らないんだけど」なんて声も会場で聞こえてきました。ディアベリを聴くのもこれが初めて、なんて方も結構多かったのではないかと。

私としては初めての生音(協奏曲はオケがあるからまた別という意味で)にワクワクしていたのですが、最初なかなか音が立ち上がらなかったように思えたし、ご本人もじれてらしたように見えました。客席も指もまだまだあったまってない状態で、この1時間もかかる曲をいきなりぶつけるのってやっぱり難しいものなんだ… と、聴きながらやきもき。でも演奏は途中から尻あがりに調子が良くなっていって、ほっと一息。
いつもディアベリのCDを聴く時は最初から最後まで流して聴いてしまうんですけど、この日はプログラムにせっかく全33曲の発想記号(?)が書かれていたので、それを参考に1曲ずつちゃんとチェックして聴いてみました。こういう聴き方も楽しいですね~。細かい感想は色々とあったんですけど、ほとんど忘れてしまったので1つだけ。フゲッタとフーガの「追いかけて追いかけて」がすごく楽しかったんですよね。バッハの「バディネリ」のピアノ編曲はご本人のサイトにも動画がアップされてるし、ご自分の猫がバッハ好きだとインタビューで仰ってたし、15歳の時にバッハの「ゴルトベルク変奏曲」の演奏によってボローニャのフィルハーモニー・アカデミーの会員に任ぜられるという栄誉に浴してらっしゃるようなので、バッハに親しんでらっしゃるのはもちろんなんですけど、これは絶対バッハがとーっても好きな方に違いないです。もっといろんなバッハを弾いていただきたいなあ。(…あ、バッハ好きだと変奏曲好きになりやすいのでしょうか? 私を含めて、私の周りでバッハが好きなピアノ弾きさんって大体変奏曲好きな気がします… わ、新発見! ←大袈裟)

後半のブラームスでは、前半序盤の不調もどこへやら、もうすっかり音もガンガン鳴っていて、チャイコンで聴いたあのブラームス。かっちりと組み立てられているCDの演奏とは少し違って、ちょっと流されちゃってる印象もあるんですけど、きっと生ではこういう弾き方で、と決めてらっしゃるんでしょうね。ディアベリとの対比も際立ってたように思います。こちらの曲は迫力もあるし派手だし、観客を否応なく巻きこんで魅了していたように思いました。一旦始まったら、もうあっという間だった~。
アンコールは鳴りやまない拍手に応えてなんと4曲。大サービスでびっくり。ショパンのノクターンは19日のよりもずっと良かったです。ものすごく情景が広がっていく演奏。この日はバッハのバディネリも弾いてくれて大興奮だったし、ラフマニノフの前奏曲の第5番もすごかったです。(でも私が自分で弾くのは諦めた方が良さそうと思いました 笑)
 
 
5月22日(火) 紀尾井ホール
曲目は
  ハイドン: ピアノ・ソナタ 変ホ長調 Hob XVI-52 
  ブラームス: パガニーニの主題による変奏曲 Op.35 第1巻・第2巻
  (休憩)
  ラフマニノフ: 練習曲「音の絵」Op.39 より
          第1曲ハ短調、第2曲イ短調、第3曲嬰へ短調、第5曲変ホ短調「アパッショナート」
  ラフマニノフ: ピアノソナタ第2番変ロ短調 Op.36(1931年改訂版)

アンコールは
  ショパン: ノクターン第20番遺作
  スクリャービン: エチュードop.8-12「悲愴」
  バッハ/ユシュケヴィチ: 管弦楽組曲第2番より「バディネリ」

この日のプログラムは「来た来た来た…!」というプログラム。前半はハイドンとブラームス、後半はラフマニノフ尽くし。
ハイドンは粒の揃った綺麗な音がコロコロと転がり、あくまでも古典派ハイドンでありながら、現代的に感じられる部分もそこここにあって、とても素敵。第3楽章で左手がすっごく可愛くて好きなところがあるんですけど、そこが生で聴いても本当に可愛かったのがすごく嬉しい♪ ブラームスはいつものブラームス。超・超・超絶技巧だし、気位の高い狂気の伯爵夫人のように(誰)いつでも十分トリを取れる曲だと思うんですが、大トリではなく中トリだというところがロマノフスキーさんならではでしょうか。
というのはこの方のラフマニノフを聴けば、誰でも納得するのではないかと。チャイコフスキーの国際コンクールで受賞した「クライネフ賞」も、後で聞けば「ラフマニノフの最も優れた演奏に贈られる」賞だったそうですし、いやもう本当にすごかったです。ラフマニノフの気持ちがよく分かる、1つ1つの音までそれぞれの意味が分かる、と仰っていたのは全然大袈裟じゃないと思う… というかむしろちょっとヤバいぐらいだと思う… この方の弾くラフマニノフは、他人の曲を弾いてる感じがしなくて、まるでその場で音楽を創り出しているみたい。すっかり魂が乗り移ったラフマニノフ。演奏後は、さすがのロマノフスキーさんも燃え尽きていたように見えました。

今回のお土産アンコールのショパンのノクターンとスクリャービンのエチュードは、これで3回目。そして前日に引き続きのバッハのバディネリ。この日の演奏は、前日の若干急いてる感じがなくて良かった~。
でも本当はアンコールなんかなくてもいいぐらいだったかな。あのラフマニノフで終わっても良かったかも。まあ、バディネリはいつでも大歓迎ですけどね。満ち足りて幸せな気分になれるから♪

ということで、大変濃密な3日間(滞在は4日間)でございました。左の写真は今回のロマノフスキーさん関連のモノたち。なんとコンサート会場で6枚入りのブロマイドセット(?!)が売られていてびっくりですよー。そんなことをされるピアニストさん、他にいるでしょうか! 別に私、顔目当てのファンってわけじゃないんですけど! つい買ってしまいました。だってサイン用の CD 持ってきてなかったんですもの…

これが終わってしまったら、後は何を楽しみに生きていけばいいの? という状態で帰ってきたんですが、やっぱりこの余韻でまだしばらくは生き延びていけそうです。ふふ。

Comments (4)

  1. yoshimi

    アリアさん、こんばんは。

    東京でコンサート三昧って、とっても贅沢な時間の過ごし方ですね!
    東京に住んでいた時、忙しくてコンサートに行っている暇がなかったのがとっても残念でした。(行ったところで、睡眠不足でぐっすり寝てたでしょうが…)

    ロマノフスキーさんは、連日のコンサートをこなして、やっぱり若いですね~。
    昨年秋のレーゼルのソロ&コンチェルト演奏会に行こうと思っても、日程が1、7、12日と飛び飛びなので(なんせ今年67歳ですから)、ちょっと悩んでしまいました。
    でも、ブログやコンサート評を後で読むと軒並み絶賛してましたから、やっぱり思い立ったら、一番充実したプログラムの12日だけでも行った方が良かったような…。
    当日のライブ録音のCDを聴いているので、それほど酷く後悔しているというわけでもありませんが、やっぱり実演はCDとは違いますからね~。

    ディアベリとパガニーニとは、かなリ珍しいプログラムですね。
    体力と持続力がいりそう。やっぱり若くないと弾けません。
    ディアベリをリサイタルで弾くには、聴衆を飽きさせない工夫がいろいろ必要だそうです。
    ブレンデルはよくリサイタルで弾いてましたが、実演はCDとはいろいろ違っていたようです。

    「全33曲の発想記号」というのは、ブレンデルも似たようなものを作ってます(ちょっとお堅い表現ですが)。
    http://kimamalove.blog94.fc2.com/blog-entry-1528.html
    標題のつけ方からして、多分ブレンデルとは方向性が違う演奏でしょうね。
    私は、ディアベリは覚えやすいのですが、ゴルトベルクの方が途中からどれがどの変奏かこんがらがってしまうので、ゴルトベルクも自分で標題つけて聴いた方が良いのかも。
    今はカニーノの録音がとても気にいっているので、これでちょっと試してみようかと…。

    最近は、ピアニストのブロマイドセットも売っているのですね~。
    昔はそんなのなかったですよね。ポリーニのもツィメルマンのも見たことありません。
    まあ、そういうものは若い時にしか作らないような気はしますが…。

  2. アリア

    yoshimiさん、こんにちは。

    そうなんです、とっても贅沢な時間の過ごし方をしてしまいました。
    こういう時、東京に住んでいていろんなコンサートに行ける方々が羨ましいですが
    でもこんな感じで行く方が、きっと純粋にコンサートだけを楽しめますね。
    なーんて負け惜しみかもしれませんけど。(笑)

    生で聴くディアベリ、面白かったですよ~。
    音の立ち上がりは遅かったし、そのせいで集中できなかった方もいらしたと思うんですけど
    という私もちょっとやきもきしてたんですけど、結構機嫌よく聴いていました。
    ブレンデルのディアベリの記事、以前にも拝見していましたが
    その頃はあまりまだディアベリという曲を知らなかったんですよねえ。
    改めて拝見してみると、標題がとっても面白い!
    最初に記事を拝見した頃は、ブレンデルのこの本はもう絶版ということで
    なんとなくそのまま諦めてしまっていたんですけど、やっぱり読まなきゃ!
    読みながらブレンデルの演奏を聴かなくちゃ!
    あ、ロマノフスキーさんのはそういうご自分でつけたものではなくて
    楽譜に載ってるのをそのまま写してきたようなヤツです…
    でもきっとご本人も独自のをつけてらっしゃると思います。
    きっとブレンデルのとはまた全然違うんでしょうね。
    どんな感じのなのか、知りたいなあ。

    レーゼルは今年の秋にもまた来日しますね。
    10月24日、28日、11月2日、3日のようですが、2日と3日は同じプログラムかな?
    沢山もらったリーフレットの中にレーゼルを見ながら、yoshimiさんを思い出してました。
    写真を見ると思っていたよりおじいちゃんでびっくりでしたよ。もう67歳でしたか。
    やはり連日というのはしんどいでしょうね。
    あ、カニーノのゴルトベルク、私も持ってます。Great Pianists のです。
    聴いていて気持ちのよいゴルトベルクですね。^^

    ブロマイドは、普通ないと思います…
    ジャパン・アーツさん、そんな売り出し方しなくても。
    そんなことしたら、まるで顔だけが取り柄な方みたいじゃないですか。
    …とは思ったんですが、まんまと術中にはまってしまいました。(笑)

  3. アリアさん、こんにちは

    すごい!ロマノフスキーさんファンの鏡ですね(笑)

    私は紀尾井ホールを行ったんですが
    ディアベリも聴きたかったです。

    >あ、バッハ好きだと変奏曲好きになりやすいのでしょうか? 私を含めて、私の周りでバッハが好きなピアノ弾きさんって大体変奏曲好きな気がします

    あっあたしもバッハ好きで
    変奏曲好きです♪

    ディアベリはポリーニとブレンデルのCDを持っていて
    好きな変奏曲の一つです。

    ロマノフスキーさんは、今度はバッハプログラムで来ていただきたいですね♪

  4. アリア

    のんさん、こんにちは。^^

    最初はかなり迷ったんですよー。
    もちろん、3つとも行きたいのはヤマヤマだったんですけど
    連泊となると、いろいろと物入りですしねえ。
    どれか諦める? でも全部違うプログラムだしーーー
    土曜日に日帰りして、また月曜日に行って泊る? それとも?って。
    結果的に全部行けてほんと良かったですー。
    もし諦めてたら、今頃すごい後悔してます。(笑)

    ディアベリもまたきっとやってくれますしね。その時はまたぜひ。
    って、のんさんはそもそもなんで行こうと思ったんでしたっけ?
    変奏曲が好きでも、バッハではないのに。(笑)
    …あ、バッハ好きで変奏曲好き、お1人様ご案内~ですね。^^
    そこには何か共通点があるような気がします。
    ブレンデルのディアベリ、私も聴かなくちゃ♪

    ほんとバッハプログラムで来ていただきたいです~
    でもなかなか実現は難しいのかも。
    ゴルトベルク弾いてくれたらと思うんですけど、
    彼にとっては最早過去のプログラムなのかも…(悲)
    バッハの協奏曲でもいいですよね☆

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