2012年07月07日
ルーカス・ゲニューシャス
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京都の青山音楽記念館バロック・ザールで行われたルーカス・ゲニューシャスくんのピアノリサイタルに行ってきました。
曲目は
ショパン: 幻想ポロネーズ変イ長調 op.61
ショパン: ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58
(休憩)
ラフマニノフ: 前奏曲集 Op.23より 第1番~第7番
ラフマニノフ: 前奏曲集 Op.32より 第1番、4番、11番、12番、13番
アンコールは
ショパン: ノクターンハ短調 op.48-1
ショパン: エチュード第1番 op.10-1
ムソルグスキー(ラフマニノフ編): ホパーク
ディシャトニコフ: フォックス・トロット
ルーカス・ゲニューシャスくんは、1990年7月1日モスクワ生まれ… ということは22歳になったところですか。2010年10月に行われた第16回ショパン国際ピアノコンクールで、第2位とポロネーズ賞を獲得して注目されている若いピアニストさんです。春にいずみホールで行われたリサイタルに行ったインゴルフ・ヴンダーくん(記事)とショパコンで2位を分け合った人。青山バロックザールでは、今回のルーカスくんのリサイタルと、今年の12月に行われるインゴルフくんのリサイタルのチケットが、2公演通し券として発売されたりしていました。
青山バロックザールは今回初めて行ったんですが、素敵なホールですね。こじんまりとしていて、係員の方の注意が隅々まで行き届いていて、きちんとしたホールだなあと思いました。音の響きもすごく良かったですし。ただ、ピアノの音だけでなく、客席の音も響いてしまうから観客の側も要注意だなと思ったのだけど。
今日のチケットは完売だそうで客席は満席。思ったよりも年配の方が多いなという印象。特に年配のご夫婦が目につきました。そして周囲から聞こえてくる話声からすると、新幹線などで遠くからいらしてる方も結構いらしたみたい。
そして演奏ですが。
ショパンはあまり得意ではない私ですが、幻想ポロネーズの最初の音で、ぐぐぐっとひきこまれました。すごい音! 「うわあ~☆」となりましたよ。もうドキドキ。(掴みはオッケー) そしてある程度音に慣れてきていたはずの2曲目のソナタでもまた、最初の音にぐぐぐっとひきこまれてびっくり。こんな風に最初の音で心を奪われたのは(というより、いきなり胸倉を掴まれたような感じ?) 初めてかも。ドキドキ。
とても懐の深さを感じさせる音でした。まるで体格の良い歌い手さんからいい声がするような感じで、大柄な体から深い音が溢れ出てきているみたい。特にフォルティッシモがずしんとお腹に響いてくるような音で印象に残りました。こんな芯のある(そしてもちろん割れていない)音が出せるんだーーーって。もちろんフォルティッシモだけじゃないし、それ以外の音があってこそのフォルティッシモなんですけどね。なんというか、内に向かう音と外に向かう音のバランスがいいんですねえ。ペダルの踏み替えもすごく細かくて、音が全然濁らないし。(休憩時間に「あの足芸がスゴイ!」なんて声が聞こえました 笑)
ただ、好みの演奏だったかと聞かれると、正直「うーん」。行く前に密かに危惧していたのですが(リサイタルがあると知ってからチケットを買うのを決めるまで、実はかなり時間がかかりました) 好みとはちょっぴりズレる感じですかねえ。演奏的には全く危なげなかったし、それどころか迫力満点だったし、リサイタルとしては大成功だったと思うんですが、こればっかりは好みの問題ですね。やっぱりインゴルフくんの方が断然好みだったなあ、と。
なあんて、ショパコンを見てなかった私がこの2人を比べるのもどうかと思うんですけどね。(4月にインゴルフくんのリサイタルに行った時は「ショパンでもいいからCDを買うぞ!というところまではいかなかったけど」なんて書いたんですけど、その後買ってしまいました…☆)
ええと、苦手なショパンだったからというわけではないですね。前半のショパンの方が、後半のラフマニノフよりも好みでしたから。ラフマニノフも良かったんですけど、ショパンに比べるとまだ若干浅いような気がしました… ショパンの時のような奥行きが感じられなくて。弾き込み度の違いでしょうか。もう少し深みが欲しかった。いえ、あのショパンと比べなければ、そんなこと思わなかったかもしれないんですけどね。(すみません、誉めておいて最後に落として)
それでも聴けて良かったです。だってあのショパンの最初の音、本当にすごかったですし~。